top of page

魔法の王国コインランド 第四周 その2 荒業?敷布団縛り(2)


ree

「ほぉ、なるほど。布団をたてに丸めて、備え付けロープで真ん中と両端3か所を縛る、布団をドラムへ這わせるように配置し洗濯する、ですか。綿やシルクは洗えない、と」

 ロープは掲示されている張り紙の下に備え付けられていたみたい。

「ミ~…(両殿下がおとなしい…)」

 この間、いつも話しかけてこられる、リズとキャス両殿下が黙って見てるだけって。なんか気になる。


「じゃあ先に入れてしまいますね。エリザベス殿下お願いします」

 マシロさんはそういうと、簀巻き状態の布団を抱え、べスのドラムの中へ這わせるように配置。あとはタオルケットなどの他の洗濯物も隙間に詰め込んでいる。

「はいはい。今日は大物洗濯コースね。詰め込んでもらった方がやりがいMAXよ」

「ありがとうございます。ではお金を入れてっと」

 マシロさんは、お腹の扉をカチッというまで閉めると、800円の大物洗濯コースのボタンを押し、硬貨を投入。流れるような熟練の手さばきね。

「こうやって入れる前のものを見ると、ずいぶん大きなものまで入るんですねぇ」

「そうそう。とても家では洗う気にならないものも、せっかくだからとついつい色々持ってくるんですけど。それでも、なんとなく入ってしまって助かってます」

 確かに、タテに縛って丸めた敷布団はかなり大きかったし、他にも何点か入っている。とてもじゃないけど家庭用の洗濯機と比べる気にもならない…って感じ。


「そうか、ちょっと驚いてしまって。では、私たちはキャサリン殿下でお願いします」

「勇者様。お祭りなので、こちらも大物洗濯コースですね」

「はい、お願いします。ほんと今までは、このお祭りも大変でした。ハーレ、ルーヤと練り歩いてる間はいいんですが、そのあとの山のような洗濯物が、それはもう…」

「ミ~?ミー(いかにもやってますって?ほんまかいな)」

 勇者は言ってる間、流れるようにとは言えないまでも、ちゃんと洗濯物を入れて扉を閉めてから、ボタンを押し、お金を入れる手順を踏んでいる。そう、洗濯物を入れる前にお金を入れ、動いてしまうと大変だからね。

 このお祭りのことはわかったような不思議な感じだけど、実際毎年何回かある衣替えの時期は、天気を気にしながら、洗濯も一仕事なのは確か。それを気にしなくて済むなんてことになれば、お祭り気分にもなるってものかも。

 リズとキャスは、仲良く20分の洗濯コースに入っていった。

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page