魔法の王国コインランド エピローグ その2
- 麻呂明弘
- 2021年9月28日
- 読了時間: 2分

「う~ん、これは結構な量…」
「それに、結構おもしろい…」
二人は目をつむり、ときどきつぶやき、ニヤニヤしながら、魔法に集中している。
「はい、完了」
「おなじく」
ほぼ同時に、両方から声をかけられると、マリの変な感覚は止まって、頭もピタッと止まった。
「もう、なんなの、一体?」
「ちょっとしたメッセージが、あんたの頭に記憶されていたのさ」
「いわゆるQRコードみたいなものが、あなたの額に光っていたから、それを入口にあなたの記憶を読みだしたの」
「もう、私の記憶って、どんな記憶なの?」
「あなたはまったく覚えてない、というか、思い出せない記憶。そのうち教えてあげるから」
「変に思い出そうとすると、おかしくなるかもね~」
「もう、なに?こわい、こわい」
マリは、ちょっと身震いすると、二人を真顔で見つめた。
「そんな心配しないで。マリ、でもあんたのおかげで助かったよ。よく頑張ったわね」
「そうそう。マリってホント助かる」
「ん?それって…」
マリは、なんとなくどこかで聞き覚えのあるその言葉に、少しモヤモヤしながらも、なにかうれしく楽しい気持ちになった。
「ま、いっか。それより、今日はこっちで夕飯食べるからね」
「いいわよ~。今日はマリのために奮発するから」
「マリ。おばあちゃんが豪勢なものを用意してくれるみたいよ」
「なんだかわからないものに、ありがと~」
洗い桶の水面には、覗き込むマシロおばあさんの笑顔が映っていた。
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