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魔法の王国コインランド エピローグ その2


「う~ん、これは結構な量…」

「それに、結構おもしろい…」

 二人は目をつむり、ときどきつぶやき、ニヤニヤしながら、魔法に集中している。

「はい、完了」

「おなじく」

 ほぼ同時に、両方から声をかけられると、マリの変な感覚は止まって、頭もピタッと止まった。

「もう、なんなの、一体?」

「ちょっとしたメッセージが、あんたの頭に記憶されていたのさ」

「いわゆるQRコードみたいなものが、あなたの額に光っていたから、それを入口にあなたの記憶を読みだしたの」

「もう、私の記憶って、どんな記憶なの?」

「あなたはまったく覚えてない、というか、思い出せない記憶。そのうち教えてあげるから」

「変に思い出そうとすると、おかしくなるかもね~」

「もう、なに?こわい、こわい」

 マリは、ちょっと身震いすると、二人を真顔で見つめた。

「そんな心配しないで。マリ、でもあんたのおかげで助かったよ。よく頑張ったわね」

「そうそう。マリってホント助かる」

「ん?それって…」

 マリは、なんとなくどこかで聞き覚えのあるその言葉に、少しモヤモヤしながらも、なにかうれしく楽しい気持ちになった。


「ま、いっか。それより、今日はこっちで夕飯食べるからね」

「いいわよ~。今日はマリのために奮発するから」

「マリ。おばあちゃんが豪勢なものを用意してくれるみたいよ」

「なんだかわからないものに、ありがと~」

 

 洗い桶の水面には、覗き込むマシロおばあさんの笑顔が映っていた。

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