魔法の王国コインランド エピローグ その1
- 麻呂明弘
- 2021年9月27日
- 読了時間: 2分

「あれ、洗濯物は…」
マリは、洗濯機の中を覗き込み、洗濯物を両手でつかむと少し持ち上げ触ってみた。
「なんだ、脱水終わってた。さっきガンゴンガンゴンいってなかったっけ~」
腕時計を見ると、夜の1時を回っている。
「やばい、やばい。明日早いのに」
マリはハンガーを取り出すと、洗濯物をとりあえず洗濯機の上のツッパリ棒にかけ、洗面台に向かった。
ベッドに入って眠るマリ。額には、その印が暗闇に微かに光っていた。
「ただいま~。おばあちゃんも来てるんだ~」
外に停めてあったおばあちゃんの車を見つけ、実家に帰ったマリが玄関から声をかける。
「マリ、おかえり」
マリが玄関を入って台所に顔を出すと、テーブルに座って話していたおばあちゃんとお母さんが声をかけた。
「おばあちゃん、どうしたの?」
「もう、いつものアレよ。洗濯物が気になってなかなか出歩けないって、グチ」
お母さんは、ヤレヤレという感じでマリに軽くうなずいた。
「だって、しょうがないじゃない。なかなか旅行にも行けないのよ」
「それはそうだけど。私だって、朝洗濯を終わらせて出かけたいのに、こんな雨じゃ」
マリは、また始まったという感じで、二人の横を通ろうとすると…。
「ちょっと、待って、マリ。あんたの額に…」
「おばあちゃん。え?なにかついてる?」
「あんたも見てみな」
「え?なんなの?」
おばあちゃんにうながされて、お母さんもマリの額をまじまじ見ている。
「アレよね」
「そう、アレね」
二人はうなずくと、マリをそばに呼び寄せ、それぞれの杖を取り出すと、マリの額に向け呪文を唱え始めた。
「なに、なに、なに~、この展開」
マリは自分が何かしでかしたのか、ドギマギしながらも、ジッと動かずにいた。とりあえず魔法の邪魔はしないというのが作法だから。
なんとなく分からないまでも、何かが二人に読みだされている感覚。マリの頭は軽く回っている。

























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