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魔法の王国コインランド 第四周 その16 そうだったのか(!!!!!!!)


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「ミ、ミ、ミ~~、ミ~(えっと、そう言えば、ワタシのことはみんな知ってるなら、賢者福朗様って)」

「おっと、そうか、そうか。そうだった。賢者福朗って、智者バケツ君のペットのフックンだから」

「ミ~。ミ~…(まったく~。そんな小技まで…)」

「でも、本当にみんなタスカル君として来てくれ、すごく楽しかったって。またね~っていうのは、本心だと思うよ」

「ミ、ミ~(もう、そんなこと)」

 なんとなく感じていたけど、最後だと知っていたら、もっともっとお話ししたかったのに。もっと、ちゃんとお別れしたかったのに…。みんなの顔を思い出すと、ついアライグマの目からも涙の粒が…。


「じゃあ、マリさん。そういうことで。準備はいい?」

「ミ、ミ。ミ、ミ~~?ミ~、ミ~…(待って、待って。だいたい、どうしてワタシだったんですか?おばあちゃんなら話が早いし、マコだっているし…)」

「もう、それ…?記憶を持ち帰るから若い人がいいの。それにマコちゃんは、アレでしょ。ね?」

 アレってなんだよ~とツッコミたかったけれど、なんとなく分かってしまった。そうね、マコは主役でワタシは脇役。それに長女なんだからこのお役目を光栄に思わないと…。


「ハイハイ、さすが長女、分かったようね。あなたは自分が思っているより、ずっと凄いの。こんな状況普通ならおかしくなってしまうのに。軽々とこなすなんて普通じゃないのよ」

 なんだか、褒められているのか分からないけど、モヤモヤしていたものが、なんとなくスッキリした。

「ミ、ミ~。ミ、ミ~、ミ~、ミ~。ミ~(もう、分かりました。で、この記憶って、どうやって、何をすれば…って。何を~)」

 テンチョーは抱えていたワタシを、気づけば渦巻いている洗い桶の中へ入れようとしている。

「ミ、ミ、ミ~(待って、待って、もっとお話が~)」

 せっかく、話が通じて、この世界のこととか色々聞きたかったのに…。なにより、さびしいじゃないの~。

「マリさん、楽しかった~」

「ありがとね~」

 ワタシの思いなんておかまいなしに、身体は足から渦巻に入っていく…。

「ミ~。ミ~(さようなら~。ありがと~)」

 ワタシの言葉と、涙の粒を渦の外に残し、身体は渦巻に飲みこまれた…。宙を漂い、辺りは漆黒の闇…。意識も…。なんか…くやしい…テンチョーに…また…ジ・エンド~って…言わせたかった~……

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