top of page

魔法の王国コインランド 第四周 その1 コロモガエル祭?


ree

「ハーレ」「ルーヤ」、「ハーレ」「ルーヤ」、…

「ミ~(今度はなに~)」

 目覚めると、何か板のようなものに乗せられ、体が上下に揺さぶられている。洗濯してないのはよかったけど、今度は一体…。

「ミ~(なんだこりゃあ)」

 揺られながら左隣を見ると、なんだか大きな緑色の物体の横に座らせられている。

「さあタスカル君も、ハーレ、ルーヤ」

 右横から覗き込むようにテンチョーが声を掛けてきた。その間にも、例の「ハーレ」「ルーヤ」があっちこっちから聞こえている。

 もう一度横の緑の物体を見上げてみると、どうやら2m近くある巨大なカエルのようだった。


「コロモガエル様のお祭りだよ。さぁ、ハーレ、ルーヤ」

「ミ、ミ~~?(コ、コロモガエルって言った?)」

 さすがに、何度も経験してくると、だんだんとパターンが読めてきた。この掛け声はいわゆる、わっしょいで祭りの掛け声。この世界では、衣替えがお祭りになっているみたいね。それにしても、コロモガエル様って。確かに、衣を替えるとは書くけれども…。

「コロモガエル様は、溜まった悪気を祓ってくれるんだ。フユ将軍が来る前に準備を整えないと。さあハーレ、ルーヤ」

「ミー(ハイハイ)」

そういえばずいぶん前に、魔王の右腕フユ将軍って、聞いた気がする…。もう秋から冬にむかうわけね。一体いつ帰れるの?そっか、別の意味でカエル様にお願いしようか。なむなむ…。


「さあ着いた、着いた。みなさんそれでは、ハーレ、ルーヤ」

「ミ~(また~)」

 勇者は、ワタシを抱き上げると、停めてあった車のドアを開け、洗濯物の袋の上に座らせた。どうやらワタシを車から降ろして、こちらの世界のいわゆるお神輿に乗せて一周してきたみたい。なんだそれ。…ヒマか。

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page