魔法の王国コインランド 第四周 その1 コロモガエル祭?
- 麻呂明弘
- 2021年8月4日
- 読了時間: 2分

「ハーレ」「ルーヤ」、「ハーレ」「ルーヤ」、…
「ミ~(今度はなに~)」
目覚めると、何か板のようなものに乗せられ、体が上下に揺さぶられている。洗濯してないのはよかったけど、今度は一体…。
「ミ~(なんだこりゃあ)」
揺られながら左隣を見ると、なんだか大きな緑色の物体の横に座らせられている。
「さあタスカル君も、ハーレ、ルーヤ」
右横から覗き込むようにテンチョーが声を掛けてきた。その間にも、例の「ハーレ」「ルーヤ」があっちこっちから聞こえている。
もう一度横の緑の物体を見上げてみると、どうやら2m近くある巨大なカエルのようだった。
「コロモガエル様のお祭りだよ。さぁ、ハーレ、ルーヤ」
「ミ、ミ~~?(コ、コロモガエルって言った?)」
さすがに、何度も経験してくると、だんだんとパターンが読めてきた。この掛け声はいわゆる、わっしょいで祭りの掛け声。この世界では、衣替えがお祭りになっているみたいね。それにしても、コロモガエル様って。確かに、衣を替えるとは書くけれども…。
「コロモガエル様は、溜まった悪気を祓ってくれるんだ。フユ将軍が来る前に準備を整えないと。さあハーレ、ルーヤ」
「ミー(ハイハイ)」
そういえばずいぶん前に、魔王の右腕フユ将軍って、聞いた気がする…。もう秋から冬にむかうわけね。一体いつ帰れるの?そっか、別の意味でカエル様にお願いしようか。なむなむ…。
「さあ着いた、着いた。みなさんそれでは、ハーレ、ルーヤ」
「ミ~(また~)」
勇者は、ワタシを抱き上げると、停めてあった車のドアを開け、洗濯物の袋の上に座らせた。どうやらワタシを車から降ろして、こちらの世界のいわゆるお神輿に乗せて一周してきたみたい。なんだそれ。…ヒマか。

























コメント