魔法の王国コインランド 第三周 その7 王国の秘密(8)
- 麻呂明弘
- 2021年7月29日
- 読了時間: 2分

「ミ~~?(グリーンコーナーの座り方もあるんじゃない?)」
「おっと、それはポイントが高い」
「なになに、抜け駆け?」
「まぁまぁ、勇者様。グリーンコーナーでは、カウンターに座ると、左の洗濯や乾燥をされる場所を背にすることになって、視線がいかないようになっているということ」
「おっと、それを言うのかタスカル君。さすが鼻が利く」
なんのホメ言葉だよ。意味がわからん。
「確かにそうね。おばあちゃんと座って待ってても、本当に気にならないから」
「でも、分かれて見えないと困ることもない?」
「そうか、見えないようにしているから、終わったかどうかや、洗濯物の様子が気になることもある」
「そのための、この仕切りなんですね。そうか~」
マコさんが納得したように仕切りを見ている。言われないと、あまり意識しないけど、確かに左と右は背の低い仕切りで仕切られている。さらに上の方はガラスで見通せるようにもなっている。
「あ~、それだけじゃない、わかった~。これがコンパクトの極意だ~」
「ミ~~?(また勇者が覚醒モードに入った?)」
「おっと、これが勇者の咆哮か」
「もう、バケツ君、まかせてよ。コンパクトだから分かれていても、振り返れば見えるし、終わったときのあのピーピーも聞こえる。もちろん、洗濯から乾燥の距離もコンパクトだからだし。この魔法の王国が、王国というにはちょっと規模が、と思っていたけど。それは利用される住人の方のことを思って…」
「ホ~」
「賢者様も感動されてる」
「そっか、いつもこの王国に来るとなんかホッとする感じがしてたけど、そういうことか。よかった、勇者様とタスカル君とこの場に居られて」
「ミ、ミ~(おいおい、泣かせるじゃん)」
って、勇者が本当に泣いてる。ま、そういうヤツか。
今回は、相当に誘導されていたけど、実際勇者の覚醒モードで、この王国のコンパクトの秘密、だからこそ快適に過ごせる工夫がよく理解できた。ようやくいい仕事してくれたみたいね。てゆーか、上から目線、ゴメン勇者。

























コメント