top of page

魔法の王国コインランド 第三周 その6 謎の職人スニーカーさん(2)


ree

「以前、リョーさんのところへ向かわれた方ですね。初めまして」

「もう、何。この前はガン無視ね。今日は何?何なの」

「ちょっと、姉さん。初めての方だよ」

「いいわね。あなたはいつも頭を冷やしてられるから。ワタシはいつも熱いのよ」

 いきなり上下両方から掛け合いが始まった。ま、こんな展開慣れてますけど。


「うふふ。この感じ、いつものドライさんだ。今日は息子の運動靴お願いしますね」

「あぁ、マシロさん。そろそろ運動会だったわね。オッケー。ガンガンに乾かすから」

「ちょっと、姉さんあんまり熱くなりすぎないで」

「あの~、いったいどうなって…」

 さすがのテンポについていききれない勇者は、マシロさんの袖をちょっと引っ張って助けを求める。そうよね、何が何だか。


「そっか。スニーカーさんを紹介しようと思ってたんでした」

「スニーカーさん…」

「そう、職人の方です。上の方がお姉さんのドライさんで、下の方が弟さんのウォッシュさん」

「そうそう。弟は洗う担当、私が乾かす担当ね」

「なるほど~。で、お二人は職人ということですが、魔法使いの方ではなく…」

「そうね。ホワイトさんたちとは違うわね。私たちは地中から雷の力を引き出して利用する感じだから」

「そうなんです。アクアの魔法は使えないので、地中の水をそのまま使って洗います」

「ミ~~(それでも魔法みたいな感じだけどね)」

「ありがとう、タスカル君。でも、ボクなんかは、水の力というより、とにかく力技って感じなんだ」

「そうそう。ウォッシュは、水とかいうよりもブラシでゴシゴシ洗い続ける力技専門ね」

「もう、ドライさん。ウォッシュさんにはいつも助かってるんですよ」

「ま、そうね。評判は良いみたいね。自分でゴシゴシ洗ったりするのはちょっと大変みたいだから」

「そうなんですよ。もちろん、カラッと乾かしてくれるドライさんも助かってますしね」

「もう、マシロさん。だから好き」

「あの~。それで、なにをどうやって」

 勇者はまたも置いてきぼり。どうやらマシロさんも、このお姉さんはなかなか手綱さばきが難しいみたい。

コメント


この投稿へのコメントは利用できなくなりました。詳細はサイト所有者にお問い合わせください。
bottom of page