魔法の王国コインランド 第三周 その6 謎の職人スニーカーさん(2)
- 麻呂明弘
- 2021年7月13日
- 読了時間: 2分

「以前、リョーさんのところへ向かわれた方ですね。初めまして」
「もう、何。この前はガン無視ね。今日は何?何なの」
「ちょっと、姉さん。初めての方だよ」
「いいわね。あなたはいつも頭を冷やしてられるから。ワタシはいつも熱いのよ」
いきなり上下両方から掛け合いが始まった。ま、こんな展開慣れてますけど。
「うふふ。この感じ、いつものドライさんだ。今日は息子の運動靴お願いしますね」
「あぁ、マシロさん。そろそろ運動会だったわね。オッケー。ガンガンに乾かすから」
「ちょっと、姉さんあんまり熱くなりすぎないで」
「あの~、いったいどうなって…」
さすがのテンポについていききれない勇者は、マシロさんの袖をちょっと引っ張って助けを求める。そうよね、何が何だか。
「そっか。スニーカーさんを紹介しようと思ってたんでした」
「スニーカーさん…」
「そう、職人の方です。上の方がお姉さんのドライさんで、下の方が弟さんのウォッシュさん」
「そうそう。弟は洗う担当、私が乾かす担当ね」
「なるほど~。で、お二人は職人ということですが、魔法使いの方ではなく…」
「そうね。ホワイトさんたちとは違うわね。私たちは地中から雷の力を引き出して利用する感じだから」
「そうなんです。アクアの魔法は使えないので、地中の水をそのまま使って洗います」
「ミ~~(それでも魔法みたいな感じだけどね)」
「ありがとう、タスカル君。でも、ボクなんかは、水の力というより、とにかく力技って感じなんだ」
「そうそう。ウォッシュは、水とかいうよりもブラシでゴシゴシ洗い続ける力技専門ね」
「もう、ドライさん。ウォッシュさんにはいつも助かってるんですよ」
「ま、そうね。評判は良いみたいね。自分でゴシゴシ洗ったりするのはちょっと大変みたいだから」
「そうなんですよ。もちろん、カラッと乾かしてくれるドライさんも助かってますしね」
「もう、マシロさん。だから好き」
「あの~。それで、なにをどうやって」
勇者はまたも置いてきぼり。どうやらマシロさんも、このお姉さんはなかなか手綱さばきが難しいみたい。

























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