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魔法の王国コインランド 第三周 その3 洗濯物を入れる前には(1)


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「もう、そうなの。それなら大歓迎よ。外は大荒れみたいだけど、よく来てくれたわね」

「本当に、勇者様、おつかれさまでした」

「ミ~(お二人ともお優しい~)」

 勇者は、限界突破なのか、無言。ここは仕方ない…ショック療法。

「ミ~(しっかりしなはれ~)」

「いたた…。あ、そうだった、洗濯物入れるんだった」

 押さえていた両手を離し、横へ飛びのく。支えを失って尻モチをつき、ようやく正気に返った勇者は、立ち上がると、いきなり左のエリザベス殿下のお腹の扉を開けて、洗濯物を入れようとしている。

「ミ~(それはヤバイ)」

「あなたっ」

「さすがにっ」

 みんなの揃った声を聞いて、勇者はビクッと手を止め、フリーズ。入れる前の作法がみんな吹っ飛んでしまったみたい。


「勇者様、入れる前に何か。ホワイトさんからお聞きになっていませんでしたか」

 キャスは、べスの前で固まっている勇者に、やさしくお話しされる。

「あ、あ~。中を確認…」

 勇者は、左上を見上げる感じで少し考え、なんとか言葉を絞り出した。

「そっか、入れる前に中を確認するんでした。それに…」

 キョロキョロとあたりを見回し、ホワイトテーブルの上でウロウロしていた妖精スプレー君をつかまえると、それをつかんで向き直った。なんとなく鼻の穴が広がっている。下からだと余計にわかるわね。

「それに、これです」

「そうよ」

「そうですね。始まってからでは止められないので、慎重に」

「すいません。とにかく入れずにお金を入れるとまずいのはわかってたのですが、先走りました」

 吹っ飛んだ記憶が蘇るにつれて、勇者の口も滑らかに。

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