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魔法の王国コインランド 第三周 その2 おまかせ魔法におまかせ


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「今日はもうヘトヘトだし、おまかせ魔法でお願いしようかな。なんとなく…」

「ミ~(久しぶりのべスとキャスね)」

 勇者は車を置いて王国に入ると、肩で息をしている。この嵐では気も使うから疲れるのかも。

 あと、なんとなく…ね。たぶんホワイト兄妹にお願いしてばかりだと、隣でしっかり話を聞いている両殿下にちょっと気兼ねするのかも。確かに、なんとなく…。

 勇者はワタシを入れたままの入れ物を持つと、ホワイト兄妹の前を通ってエリザベス殿下とキャサリン殿下の前に歩いて行った。要は全自動洗濯の白魔女お二人ね。なんとなく、勇者の歩き方はぎごちない。やっぱり、久しぶりの姉妹でちょっとビビリ気味なのかも。やっぱり圧がすごいから。


「あ、あの~。両殿下、お、お久しぶりです」

「………」

「え~っと、あの~」

「もう、姉さん。やっぱりかわいそうよ」

「キャス。もう少しがまんしなきゃ」

「あ、あの~なにか、いじられてます?」

「ほっほっほ。仕方ないわね、勇者様。また今度もホワイトさんかと思って、ちょっとね」

「勇者様、ちょっと危なかったかも。…冗談です、冗談です」

「ミ、ミ~~(勇者、今日もホワイトさんだったらヤバかったって)」

「タスカル君。今はなんとなく、言ってることがわかった。ふぅ~」


「で、今日はわたしたちにご用なの、勇者様」

「あ、はい。今日は是非殿下のおまかせ魔法の威力を堪能させて頂ければと存じます」

「ミ~(勇者がんばれ~)」

 なんとなく、圧に押されのけぞり気味の勇者の太ももを、立ち上がって下から押さえ応援。本当は背中を支えてあげたいけど、アライグマじゃ、これが限界。

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