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魔法の王国コインランド 第二周 その19 ホワイトテーブルとは(2)



「ふ~ん、そうかも。ただ、真ん中にあるのは、実際に使いやすいってことなんだけど…」

「ミ~~…ミ?(真ん中は誰からも見やすい…とか?)」

「惜しい…かな」

「タスカル君。ここはワタシが。そう、誰からも見やすいから」

「ミ~(だから違うんだって)」

「でも、近いよ。リズおばさんやキャスおばさん、父や母に、ボクたち、ドライヤの魔法が使える誰からも近いところにあるってこと」

「ミ~~(確かに取り出したらすぐ畳める)」

「う~ん、魔法の王国コインランド。この心遣いは染みる…」

 大袈裟、なんだけど、そうなのよね。ただ意味もなく置いてあるわけじゃなかった。置かれている場所も含めて、ちゃんと大切な意味があったのね。

「では、謹んで…」

 なんとなく、厳かな感じを醸しだしながら、勇者は洗濯物を取り出すと、テーブルの上で、何かの儀式をしているような雰囲気で一枚一枚畳んでいった。

 畳み終わった勇者は、似合わない厳かな感じで、王子たちに会釈をして踵を返した。

「いって~」

「ミ~(似合ってないっつうの)」

 思わずジャンプ頭突き。いつもながら、ジトジト妖魔バイウ、どうなったんだっけ。


「じゃあ、今日は一仕事終わったから、ホットさんで一杯やりますか」

「ミ~(気が利くねぇ)」

 気になることはあるければ、とりあえず確かに一仕事終わった感じだし。

 ただ、この時ワタシたちは知らなかった、まだ仕事は終わってなかったことを。なんちゃって。


 王国の入口を出ても、まだ明るい。夜になるとギンギンに明るい感じのホットさんだが、昼間はなんとなくおとなしく感じる。

「仕事帰りの一杯といっても、アルコールじゃないからね」

「ミ~(そもそもアライグマだって)」

「だからダメだって」

 う~ん、相変わらず、この勇者…。

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