魔法の王国コインランド 第二周 その19 ホワイトテーブルとは(2)
- 麻呂明弘
- 2021年6月22日
- 読了時間: 2分

「ふ~ん、そうかも。ただ、真ん中にあるのは、実際に使いやすいってことなんだけど…」
「ミ~~…ミ?(真ん中は誰からも見やすい…とか?)」
「惜しい…かな」
「タスカル君。ここはワタシが。そう、誰からも見やすいから」
「ミ~(だから違うんだって)」
「でも、近いよ。リズおばさんやキャスおばさん、父や母に、ボクたち、ドライヤの魔法が使える誰からも近いところにあるってこと」
「ミ~~(確かに取り出したらすぐ畳める)」
「う~ん、魔法の王国コインランド。この心遣いは染みる…」
大袈裟、なんだけど、そうなのよね。ただ意味もなく置いてあるわけじゃなかった。置かれている場所も含めて、ちゃんと大切な意味があったのね。
「では、謹んで…」
なんとなく、厳かな感じを醸しだしながら、勇者は洗濯物を取り出すと、テーブルの上で、何かの儀式をしているような雰囲気で一枚一枚畳んでいった。
畳み終わった勇者は、似合わない厳かな感じで、王子たちに会釈をして踵を返した。
「いって~」
「ミ~(似合ってないっつうの)」
思わずジャンプ頭突き。いつもながら、ジトジト妖魔バイウ、どうなったんだっけ。
「じゃあ、今日は一仕事終わったから、ホットさんで一杯やりますか」
「ミ~(気が利くねぇ)」
気になることはあるければ、とりあえず確かに一仕事終わった感じだし。
ただ、この時ワタシたちは知らなかった、まだ仕事は終わってなかったことを。なんちゃって。
王国の入口を出ても、まだ明るい。夜になるとギンギンに明るい感じのホットさんだが、昼間はなんとなくおとなしく感じる。
「仕事帰りの一杯といっても、アルコールじゃないからね」
「ミ~(そもそもアライグマだって)」
「だからダメだって」
う~ん、相変わらず、この勇者…。
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