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魔法の王国コインランド 第二周 その19 ホワイトテーブルとは(1)



 勇者もなんだか恥ずかしそうに軽く会釈を返す。そして、急いで洗濯物を取り出そうとしたとき…。

「いいのかなぁ~」

「ホントにいいのかなぁ~」

 あっちこっちから、波状攻撃がやってきた。なんとなく、ニヤニヤした感じもあるんだけど…。

「そうだった。ホワイトテーブルはご存じですか」

 周りの声に気づいたイッピ王子が、助け船。それでも勇者はキョロキョロしたまま。

 確かに、今まで敢えて見て見ぬふりをしてたけど、この王国の中央には、謎の白テーブルが2つ、ドンと置かれている。その存在感から、何か儀式をするのか、それともワイワイ食事でもするのか。聖なるものか、俗なるものか。なんとなく聞きづらい感じがして…。


「ミ~~?(やっぱりこれって大切なテーブルなの?)」

「そっか、誰も教えてなかったんだ。じゃあ誰?」

「仕方ない。昨日から何もしてないボクがいきます」

 なんとなく、ちょっとかわいそうなヨッカ王子が名乗りを上げた。

「え~っと、乾燥したものを、そのまま袋に詰めて帰ると、どうなるの?」

「少しシワになるかもしれません」

「それから」

「あとは、畳んでしまう感じです」

 なんだか勇者はおとなしい生徒の感じが、さすがにおかしい。

「それそれ」

「なんです?えっと、そうか。シワにしないためには、早めに畳んだ方が良い…、とか」

「いいんじゃな~い。そう、取り出したものを、すぐにこのホワイトテーブルで畳んで持って帰れば、シワも少なく、帰ってしまうだけ」

「なるほど。意外に家にこんな大きな空いたテーブル、ありませんからね」


「ミ、ミ~、ミ~(ある意味、終わりの儀式、という感じかも)」

 最後に一枚一枚畳むって、なんとなく終わった感じで、気持ちいいかもしれない。

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