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魔法の王国コインランド 第二周 その16 頼もしい金庫番(1)


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「じゃあ、返金だね」

「え、返金っていうと、お金が戻るってことですか」

「ミ、ミ~。ミ~(まあ、そういうことね。返金だから)」

「そう、ボクたちの替わりに、リョーさんが返してくれるよ」

「そうなんですか。じゃあ急いで聞いてみます」

 それにしても、案の定、調子に乗ってるときの、この展開。わかりやすいといえばそうなんだけど。

 勇者は例の細い道に向かっている。仕方ない、ついていきますか。


「リョーさん様~」

「おっと、どうされました。確か勇者様、あ、え~っと、そうか王子のところでお間違えですね」

 どうやら、リョーさんは誰かと交信しているみたい。

「王子様の確認がとれました。では、これから返金します。よろしいですか」

「よ、よろしい、というか、よろしくお願いします」

 その言葉が終わると同時に、例の両替のコインを取り出した場所に、チャリン、チャリンと一枚ずつコインが落ちてくる音が聞こえてきた。

「お~、こうやって」

「では、400円。ご確認ください」

「ミ~ミ~(なるほど~返金してもらえる」

 もちろん、間違えないほうがいいけど、間違えても返金してもらえるなら安心かも。

「確かにあります。ありがとうございます」

「いえいえ。王子様は上下で別のボタンのようですから、お気をつけて」

「恐縮です」

 確かに恐縮した感じでペコリと会釈をし、勇者は王子の元に急いで戻っていった。


「実はここだけの話ですが…」

 遅れて勇者の後を追おうとしたとき、リョーさんが話しかけてきた。

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