魔法の王国コインランド 第一周 その3 謎の門番(2)
- 麻呂明弘
- 2021年3月17日
- 読了時間: 2分

「おや?おかしなことをおっしゃいますね。そちらのアライグマさんは」
「ミ、ミー?(言葉、わかるの?)」
「いいから、いいからタスカル君。ノド乾いてないよね。先を急ごう」
勇者は、商売人ぽい門番?が苦手な感じで、軽く会釈をすると、その横を通りガラスに覆われた入口の扉をこわごわ開ける。
「そういえば、ここは謎の王国ですよね」
勇者が思いついたように振り返り、門番?商売人?とにかく謎の自販機に小声で訊ねると、笑い声とともに自信に満ちた声がかえってきた。
「謎?ハッハッハ。ここは、アーサー国王の治められる『魔法の王国コインランド』と申します」
「ちょっと待ってタスカル君」
アライグマの身体はどうにもジッとしていられないらしく、ビビリの勇者の足元をスルリと抜け、先に王国に飛び込んだ。遅れて勇者も扉の中に足を踏み入れる。
ボ~ッとした目で左右を見上げると、右にはうっそうとした緑に覆われた門のようなものが。
「う~ん、どっちからかなぁ。あっ、ちょっ」
「ミー(こっち)」
勇者にはおかまいなしに、ニオイに反応したアライグマの身体は、迷わず左手に駆け出して行く。
魔法も気になるが、コインランドという名前は聞き覚えがある。頭は現在、絶賛パニック中だが、なんとなく身体に遅れまいと気持ちも先へと急ぎだした。
「だから待って~。イロイロ重いんだからぁ~」
重い体に鎧をつけた勇者の、悲しげな叫び声が王国に響いた。

























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