魔法の王国コインランド 第二周 その１２ 洗濯終わりにチェック＆チェック

「えっと、これで終わりかな。ジェーン、ありがとう」

「え、なに。本当にそれでいいんだっけ？ファイナルアンサー？」

「え～、なにかしでかしてる？いやんいやん」

「まぁまぁ、勇者様。こらジェーンも。悪気はないんです。実はちょっと落とし穴があって」

「な、なんですとぉ」

　勇者は、ジョンの言葉に、キョロキョロと下を見まわしている。

「ミ～～（だから落とし穴さがすんやない～）」

「勇者様、勇者様、それじゃなくって。お腹のドラムの中です」

「お腹の中に落とし穴ですか？ずいぶんとマニアックな…」

「ミ～（だから離れなさいって）」

「あのね。お腹の上の方を見てねってこと。渾身の力で脱水するから、洗濯物が上の方に張り付いたまま落ちてこないことがあるの。下は見るけど上はあんまり見ないからね」

「なるほど～」

　勇者は言いながら、あらためてジェーンのお腹のドラムに少し頭を入れ、上の方をチェックしている。

「大丈夫です。隊長！」

　勇者は、頭を抜いて直立すると、敬礼をして軽口を叩いている。尖がり口の子供がすっかり機嫌を直した感じね。

「ワゴンさん、出発進行！」

　勇者はご機嫌な感じで、ワゴンさんと一緒に王子の元へ歩いていく。

「ミ～、ミー。ミ～。ミー（ジョンにジェーン、ありがとう。お世話になりました。ではまた）」

　振り返って挨拶をし、勇者の後を追いかけた。

「ミ～（こんにちは～）」

　今回は、リズとべスの前を通っていくんだけど、勇者はワゴンさんに気をとられて素通り。ワタシはちょっとご挨拶。勇者、あとで何もないといいけど～。