魔法の王国コインランド 第二周 その１３ 乾燥できないものあるある

「へい、旦那、着きやんした」

「おう、ありがとよ」

「ミ～（影響されやすっ）」

　ワゴンさんは、初心者ならイッピ王子にお任せという感じで、乾燥王子の一番左側に止まった。

「まぁ、ボクは入れにくいから、兄さんにどうぞ」

　下の方から声が聞こえる。ワゴンさんが前に止まってるので、下のフツカ王子には入れにくい。どうやらいつものことらしい。

「じゃあ途中の説明とかは、フツカに頼むよ」

「ま、まあ、いいけどさ」

　イッピ王子は、弟のフツカ王子をたて、フツカ王子もまんざらではなさそう。良い兄弟じゃない。

「王子様、念のため、何か入れる前に気をつけることとかあったりします？乾かせないものとか…」

「ミ、ミ～…。ミ、ミ～（それって、国王陛下からお聞きしたけど…。まぁいっか、おさらいということで）」

「そうですね。その袋から顔がのぞいているクマさんはちょっと。ウール製品や綿がかたよる和布団などですか。ホワイトさんからお聞きになったようなものです」

「やっぱりですね」

「まだあるよ。油汚れのひどいものとか」

　フツカ王子はやる気満々で口を挟む。

「それに、のりづけしたもの、ウレタンカーペット、脱水してないもの、とかも」

「フツカの言う通りです。それにカーテンやナイロンまたアクリル製品は縮む可能性もあるんです」

「今日のは大丈夫そうです」

　勇者は一応という感じで、自分の洗濯物をチラッと見て答えた。

「ミ～～～（魔法アイテム特製ソフターもあるって聞いたけど）」

「そうですか。リョーさんが教えてくれたんですね」

「え？リョーさん？そうだった、魔法のアイテム。なんだったかあれ…アレ～？」

「それは特製ソフター。仕上がりがもっとフンワリするし、静電気を防ぐ追加効果もあるんだ」

　フツカ王子は自信をつけたようで、熱心に説明してくれる。イッピ王子の作戦成功って感じね。

「なるほど～。超フワフワってことですね。う～ん、そそられるけど、静電気の追加効果は今の時期は大丈夫そうなので、今度お願いします」

「わかりました。使われるときは、洗濯物の一番上におくだけで大丈夫です」