魔法の王国コインランド 第二周 その11 ワゴンさんのグッジョブ(1)
- 麻呂明弘
- 2021年6月2日
- 読了時間: 1分

「こちらもそろそろみたいです」
渾身の力でお腹を回転させていたジェーンが、徐々に全集中を解くように、ゆっくりゆっくりと落ち着いていく。
そして、その回転が終わり一瞬の静寂が支配したその時…。
「ピーピーピー」
「ミ!(痛っ!)」
あとずさった勇者が、かかとでワタシを蹴り上げる。
「いて!」
仕返しのジャンプ頭突きをお見舞い。
「ミ~(さっきも鳴ったやろ)」
「本当に仲がよろしいんですね」
「ははぁ、まぁ、それはもう」
勇者は、目を泳がせながらワタシの頭をなでる。
「ミ~(だからやめい)」
「じゃあ、これは早速取り出した方がいいですね」
「もう、それが一番。さすが勇者様。早く終らせた冥利につきるっ、てね」
なんの冥利かジェーン語録にはときどきついていけないが、リズやキャスもたしか言ってた。早く終わらせたんだから、その方がうれしいのかも。
「じゃあ、失礼して」
勇者は、さっきの住人の方同様に、お腹のドラムから洗濯物を取り出そうとすると…。
「勇者様、次はどちらへ」
「え、あぁ、そうか、乾燥。今日は王子様に頼もうかと」
ジョンの問いかけに、勇者は手を止めて答える。
「そうですか。それなら、ワゴンさんがお役に立てるでしょう」
「えっと、それはどなたで?」
「へい、旦那、お呼びですか」

























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