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魔法の王国コインランド 第二周 その10 洗剤以外も自動投入…何を?


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「わかりました。では洗剤以外にも私たちが入れているものはなんでしょう」

「そ、それは、愛、たぶん愛、きっと愛」

「ミ、ミ…(って、水中花…)」

「それも…ですが、衣類のシワに関係するものなんです」

「う~ん、だったら愛とは違うか~」

「ミ~。ミ~(どっかで聞いたようなセリフ。でもそれなら柔軟剤ね)」

「そうです。私たちは仕上剤と言ってますけど。シワに効くように脱水前の仕上げに入れるんです」

「そうか。その2つとも天然由来のエコ、水も少なくてエコ。なので、エコエコ魔法と言うんでしたね」

「ミ~(勇者が覚醒した)」

 フリーズで英気を養ったのか、勇者の突然の理解力に、なんとなく敗北感が。まぁなんとなくだけど。

 こんなやりとりをしている間、ジェーンがまったく割り込んでこない。やっぱり全集中が必要なのね。


「ちょっといいですか。取り出したいので」

「勇者様、ちょっとどいて頂いて」

 勇者が覚醒した風で、ジョンの前で胸を張って腰に手を当てていると、先にジョンのお腹を利用していた住人が奥からやってきて声をかけた。

「ミ~…(今回は知らない人…)」

 マシロさんとは別の、やはり中世風の装いの女性が、慌てて横にどいた勇者に会釈して、洗濯物を取り出している。

「次は乾燥ですか」

「今日は、このまま持って帰ります。時間がないので」

 ジョンの言葉に、住人の方はそう答えると、軽くシワを伸ばしながら袋に詰めていく。

「ミ~~(洗濯だけで帰られる方もいるんですね)」

「そうですね。時間のある方ない方。洗濯だけや乾燥だけ。いろんな方のお役に立てるのがいいんです」

「そうか、妖魔バイウには、乾燥だけでも相当なダメージを与えることができる」

「なるほど。さすが勇者の発想です」

 ま、まあ。それはそうか。さっき急にどかされて、よろけていたから、覚醒モードは解けたかと思ったけど、ギリギリ余韻は残っているみたい。

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