魔法の王国コインランド 第二周 その9 洗剤はどうなった?
- 麻呂明弘
- 2021年5月31日
- 読了時間: 2分

「そんな勇者様に申し訳ありませんが、洗剤はどうされました」
「せ、洗剤?ですか。まったく気にしませんでした」
ジョンは勇者のフリーズを見抜きながら、容赦なく追い込んでいく。なんとなく、アライグマの顔ながらニヤニヤ。さぞ、日頃洗濯してないんでしょうね、勇者様。
「そうですか。洗濯をするのに洗剤が気にならない。なるほど~」
「なんか、すいません」
さすがの勇者も、やばい雰囲気を察したみたい。
「はっはっは。大丈夫です。洗剤はちゃんと私たちが入れています。というか、逆に勝手に入れられては困るんです」
「ミ、ミ?(へっ、困る?)」
「そう、困るんです。泡が出過ぎてしまって、最後まで泡が残ってしまうことがあるんです」
「なるほどーって、すいません、まったくわかりません」
「ミ、ミ~、ミ~~?(それは、この前言っていた、すすぎ1回と関係してますか?)」
「おう、なんと。そうなんです。すばらしい。まさにエコエコ魔法と関係してるんです」
「ぬぬぬ。タスカル君。もちろんわかってませんとも」
勇者は、キャパオーバーなので、全面降伏。ある意味潔くてよろしい。
「はっはっは、大丈夫。ただのおさらいです。エコエコ魔法はすすぎを1回にして、洗濯時間を短くしています。なのであまり洗剤が多いと泡が消えなくなってしまうのです」
「そうですよね。水にも秘密があるんですからね」
「え、そうなんです」
「ミー?(まぐれ?)」
「まさにその通り。魔法の水自体に洗浄力があるので、洗剤が少なくて済む。だからすすぎが1回で済むと言っているのに、洗剤が余計に入ればそう、台無しですね」
「もう、そうだと思いました。なんでも聞いてください」
「ミ~?(オイオイ良いのか?)」

























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