魔法の王国コインランド 第二周 その６ なんでも洗えるわけじゃない

「良かった、食べられなかったみたいね」

「いやぁ、少っち危なかったです」

　ジェーン対勇者劇場の開幕？

「え、なに？」

「あ、いえ、おかまいなく」

　ジェーンの軽口にうまく返そうとしたけど、スベッてしまってさぁ大変。やっぱりね。

「ミ～（ここはワタシに免じて）」

「ハイハイ了解。じゃぁどうぞ」

　勇者は、ちょっと申し訳ないような感じで、持っていた袋から洗濯物を取り出して、ジェーンのお腹のドラムに入れていく。

「で、４００円を入れて…」

「はい、スト～ップ」

　ジェーンの待ったで、財布を取りだした勇者の手が止まる。

「なんでもかんでも洗えるわけじゃありませ～ん。なんですか、それは」

　ジェーンの言葉で、ドラムの中をみると、クマのぬいぐるみが。

「これ洗っちゃだめですか。洗ったら、これがホントのアライグマ…なんちゃっ…」

「ピー」

　ジェーンはイエローカードのホイッスルをかぶせる。これはおそらく下手なダジャレの方ね。

　だいたい、誰のぬいぐるみ？

「勇者様、ぬいぐるみや、ウール製品は洗えません」

　隣から兄のジョンが説明してくれた。

「ついでに言えば、綿や羊毛が偏る可能性のある和布団、羊毛布団またキルティングしていない綿入りのものも洗えません。もちろん水洗い不可のものは当然ですが」

「なるほど～、じゃあぬいぐるみのかわりに、本物のアライグマを…」

「ミー（ピー）」

　これはワタシがイエローカード。