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魔法の王国コインランド 第一周 その3 謎の門番(1)


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「ミー(降りるよ)」

 なかなか車から降りたがらない勇者にしびれを切らし、小っちゃい手でなんとかノブを引いてドアを押し開け跳び降りた。

 あらためて見渡すと、駐車場は王国の威厳を示すためか、門の正面を空け、左右に停めるよう工夫されている。そのおかげか、薄暮のなか、王国全体が明るく光り輝いているように見えた。

「大丈夫?コワいことない?謎の王国」

 コワゴワ降りてきた勇者は、背後から声をかける。

「な、なるほど。雨が降ったときなんかは、いったん門の前に車をつけて乗り降りできる。もちろん正面が空いていると、すっきりしていて見やすいわけか」

 勇者は、ビビりながらも、王国を見上げ、変なところに感心している。


「こ、これは…円い筒の形の…飲み物?」

「ミー?(どうみても自販機だけど?)」

 王国にはガラス扉の門があって、その横には、見慣れた自販機がカラフルな光を放っている。

 それにしても、自動車はあるのに自動販売機は知らない。わけわからん展開に、勇者をまじまじ見ていると…。

「はじめてですか?」

「あ、すいません。勇者テンチョーと申します。入ってよろしいですか?」

「勇者ご一行様。どうぞお入りください。それより、飲み物いかがですか?お安くしておきますけど」

「ミ、ミ~、ミ~(な、なんですと~、自販機が話している~)」

 何が謎の王国?と思っていたけど。確かにここは普通じゃない。アライグマのワタシが言うのもなんだけど。

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