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魔法の王国コインランド 第二周 その2 ホワイト兄妹の洗濯(1)


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 洗濯物の上で揺られ、うっかりウトウトしているうちに、車は王国の駐車場に到着した。

 まだ時間が早いせいか、王国は前回のような光に包まれた感じではない。門番?の自販機ホットさんもギラギラした感じではなく、なんだか穏やかそうに迎えてくれた。

 てゆーか。ワタシ、なじみ過ぎ?


「今日は誰か来ているみたいだ」

 今回はさっさと先に降りた勇者が、近くに止まっている他の車を見ていた。

 この前はマシロさんが来ていたし、勇者は謎の王国と言ってビビッていたが、どうやら他の人には知られた存在なのかも。

「おや、お久しぶりですね」

「ホットさん、こんにちは」

「ミ~(こんにちは)」

「えっと、今日はそんなに量が多くないからな」

 相変わらずホットさんはちょっと苦手な感じで、軽く挨拶をして王国に入った勇者は、常連のようにつぶやくと左の方へ。今回はホワイト兄妹に洗濯をお願いするようね。おっと、急がないと。


「先客がいるみたいだ」

 洗濯魔法使いホワイト兄妹の前で立ち止まった勇者。その足元から見上げると、兄のジョンがすごい勢いでお腹のドラムを回している。この前はトロトロ居眠り中だったのに、ずいぶんな変わりよう。

「あの~、これって大丈夫なんですか?」

 その激しさにビビリ気味の勇者は、隣でヒマそうにしている妹のジェーンに心配して話しかけた。

「あら、この前の勇者様?だったっけ?お久しぶり。フフッ、そうね。今は脱水中だから、一番激しいかも」

「そうか脱水。でも、脱プンというかお腹の中のもの全部出ちゃったりしません?」

「うける~。そう、たまに」

「やっぱり。すぐ止めないと」

「ミ、ミ~(アホか。冗談だっちゅうの)」

 なんか3人組のツッコミ漫才風に息が合ってきた。

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