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魔法の王国コインランド 第二周 その1 ジトジト妖魔バイウ



「ジトジト妖魔バイウか。やっかいな敵だな」

「ミ、ミ?(な、なに?)」

「そうだよな。タスカル君たら、魔王倒すの忘れてたし…」

「ミ?ミ?(え?ワタシ?)」

「まぁ仕方ない。魔王アクテンコーはラスボスだから。それより、今はこの妖魔バイウ。こいつをなんとかしないと」

 相変わらずマイペースなテンチョーは、ちゃっかりワタシのせいにして雨雲の流れを目で追っている。

 どういうわけだか、魔法の王国からの帰り。ホットさんのスープを飲んで車に乗った後の記憶がない。気づいたら、また同じように桶で洗濯している。アライグマのままは仕方ない?としても、また桶で洗濯って。いったい何の罰ゲームなんだか。


「ということで、やっぱり行くしかないか。また魔法の王国コインランドへ」

「ミ、ミ~?(というか、妖魔バイウって?)」

「そう。ぶっちゃけ、洗濯物たまっちゃったし」

 いったい何と聞こえ、何でぶっちゃけてるのか…。とにかくラチがあかない。

 仕方なく、少しハッキリしてきた頭で考えるに、この小雨混じりの感じやジメジメ感から、今は梅雨時だろう。ということは、あれから一気に何ヵ月も進んだ?

 それは後で考えるとして…洗濯物が乾かなさそ~な、このじめじめジトジト感が、ジトジト妖魔バイウという魔物の仕業って言いたいんでしょうね。ハイハイ。だんだんわかってきましたよ。


「タスカル君、早く、早く…」

「ミ?ミ(もう?早や)」

 ちょっと考え事をしている間に、テンチョーは勇者支度を整えていた。この早業、服の下に着こんでた?水着か。そして、最初から行く気満々?

 その防具は前と同じく、漂白で純白がまぶしい。それにしても防具って洗うもの?と、今回こそツッコもうという意気込みもムダ。勇者テンチョーは、素早くワタシを抱きかかえると、車のドアを開け、洗濯物を入れた袋の上にワタシを放り投げた。何これ。夜逃げ?

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