魔法の王国コインランド 第一周 その16 グリーンコーナー(1)
- 麻呂明弘
- 2021年4月29日
- 読了時間: 2分

「このグリーンコーナーには、4人が座れるベンチがあってゆっくり休めるんだ。また飲み物を置いたりできるカウンターもあって、同じく4人利用できる」
ベンチは足を伸ばして利用できるし、カウンターは待ちながらちょっとした作業もできて便利そう。
「それに、雑誌もあるし、このパズルもオススメなんだよ」
「ザT」という名前の木のぬくもりを感じる木製パズルは、4つの木製ピースを組み合わせて「T」字や、そのほかの形をつくれる、有名なものだという。確かに以前どこかの宿で見た気もする。
「いや、これもう、はまるなあ」
勇者は、説明を待たずにさっそくパズルを手にして喜んでいる。なけなしの勇者だけど、この辺は憎めない感じなのよね。
「こんばんは、カップさん」
バケツ君が挨拶した先を見ると、入口にいた門番?よりもずっとスリムな黒い自販機が目に入った。
パッと見た感じは、カップタイプみたいね。
「お~や、バケツ君…じゃないか~、お客様~?」
「ミ~。ミ~?(やっぱりお話になる。しかもスロー再生?)」
「勇者テンチョーさんと、タスカル君。よろしくね」
バケツ君が紹介してくれるも、無言…。
「あの~」
「勇者様、もうちょっと待って」
「勇者様に………」
「ミ~(勇者の寿命がもたんで~)」
「タスカルく~ん」
「ははは。カップさんは、こうやってグリーンコーナーの時間の流れをゆっくりしてくれてるんだ」
「ま、まあ確かに。お相手するにはまだまだ修行が足りない感じですけど」
パズルにてこずって投げ出した勇者も、もう一度パズルに戻ろうとしたが。
「なんちゃって~。まあ一杯いかがですか」
「ミー、ミ~(これはいまどき、なんちゃってって)」
どうやら、カップさんも一筋縄ではいかない御仁のようね。
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