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魔法の王国コインランド 第一周 その14 謎の妖精



「ミ~?(今度はバケツ?)」

 勇者の両腕に抱かれながら下を見ると、本棚に腰を下ろしてこちらを見上げるオレンジのかわいいバケツがあった。

「そう、ボクはバケツ君。妖精さ。よくわかったね」

「なんと、今度は桶がしゃべってる。オケ君、いや、オケツ君?」

「え?ボクをオケツ君と呼んだ?それはあまりにも、欠礼じゃない?」

 おっと、勇者の天然を、なんとなくワンランク上のシャレで返す。この妖精君なかなか?

「ミ~。ミ~~(バケツ君ごめん。この人バケツ知らないと思う)」

 バケツがしゃべってるのに、特に驚かない自分に驚く。慣れってこわい…。

「欠礼と言われては勇者の名がすたります。お許しをオケツ…バケツ?君さん」


「ホ~」

 頭上からフクロウの鳴き声が聞こえた。

「はいはい、わかりました、この辺で許してあげます。賢者様」

 どうやら、バケツ君は、賢者と呼ばれたフクロウの言葉がわかるみたい。

「え?妖精の次は賢者。なんか本格的に魔法世界っぽい感じになってきた」

 勇者もフクロウを見上げる。

「ゴメンゴメン。ちょっと遊び過ぎた。せっかくグリーンコーナーに来たんだから、ちょっと案内してあげようと思って。で、あの方は賢者福朗さま。君たちがこの王国にいらした時から見ておられたみたいだよ。え~っと…」

「ホ~」

「あ、そうそう、勇者テンチョーさんと、タスカル君だね」

 確かに賢者と言う通り全てお見通しという感じ。ちょっと緊張する。では、ワタシのことも何か知っているのかも…。

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