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魔法の王国コインランド 第一周 その13 ホサナイ魔法(2)


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「いかがですか。この大きな舞いが、王子たちの舞いとの違いです」

「さすがにわかりました。滞空時間が長く優雅に舞うほど、熱風をまとう量も多くなって、早く、しかもシワなく乾いてくれる。ということですね」

「お~、素晴らしい」

「ミ~(珍しく)」

「大物乾燥はもちろん、同じ量の洗濯物なら、王子が通常30分~40分かかるところを、24分~32分に短縮する時短魔法。これが、国王と王妃が使える王族秘伝の『ホサナイ魔法』なんです」

「しかも、仕上がりもよりふんわり、シワなく、ね」

 王妃様は、なんとなく、シワなくを強調されたい?気のせい?


「あの~、王子様たちの、『ほさない魔法』とおんなじに聞こえるんですが」

 確かに、アライグマの耳でも、違いがよくわからなかった。

「ハッハッハ、すいません。書かないと違いはわかりません」

「なんだもう。いけず~」

 ちゃっかり打ち解けた勇者だったが、なんだかお腹一杯という感じでこちらに向き直った。

「じゃぁ、もうすっかり遅いから、家に帰ろうか」

「ミ~~(魔王はどうなったんや)」

「そっかそっか、お腹が空いたか。じゃあ急いで帰ろう。両陛下、ではこの辺で失礼します。今日はありがとうございました。ホント助かりました」

「こちらこそ。またおいでください」


 両陛下の温かい言葉を背に、勇者は、この中途半端さに落着きを失っているワタシを抱き上げ、マシロさんたちが向かった、緑に覆われた公園のようなところへと歩みを進めた。仕方なく行く先を見ると、遠くに、入ってきたとき右に見えた、緑に囲まれた門があった。

「そっか、入って右に折れるとここに来れるのか」

「君たち初めて?」

 突然、耳元に、どこからか呼びかける声が聞こえてきた。

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