魔法の王国コインランド 第一周 その13 ホサナイ魔法(2)
- 麻呂明弘
- 2021年4月26日
- 読了時間: 2分

「いかがですか。この大きな舞いが、王子たちの舞いとの違いです」
「さすがにわかりました。滞空時間が長く優雅に舞うほど、熱風をまとう量も多くなって、早く、しかもシワなく乾いてくれる。ということですね」
「お~、素晴らしい」
「ミ~(珍しく)」
「大物乾燥はもちろん、同じ量の洗濯物なら、王子が通常30分~40分かかるところを、24分~32分に短縮する時短魔法。これが、国王と王妃が使える王族秘伝の『ホサナイ魔法』なんです」
「しかも、仕上がりもよりふんわり、シワなく、ね」
王妃様は、なんとなく、シワなくを強調されたい?気のせい?
「あの~、王子様たちの、『ほさない魔法』とおんなじに聞こえるんですが」
確かに、アライグマの耳でも、違いがよくわからなかった。
「ハッハッハ、すいません。書かないと違いはわかりません」
「なんだもう。いけず~」
ちゃっかり打ち解けた勇者だったが、なんだかお腹一杯という感じでこちらに向き直った。
「じゃぁ、もうすっかり遅いから、家に帰ろうか」
「ミ~~(魔王はどうなったんや)」
「そっかそっか、お腹が空いたか。じゃあ急いで帰ろう。両陛下、ではこの辺で失礼します。今日はありがとうございました。ホント助かりました」
「こちらこそ。またおいでください」
両陛下の温かい言葉を背に、勇者は、この中途半端さに落着きを失っているワタシを抱き上げ、マシロさんたちが向かった、緑に覆われた公園のようなところへと歩みを進めた。仕方なく行く先を見ると、遠くに、入ってきたとき右に見えた、緑に囲まれた門があった。
「そっか、入って右に折れるとここに来れるのか」
「君たち初めて?」
突然、耳元に、どこからか呼びかける声が聞こえてきた。

























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