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魔法の王国コインランド 第一周 その12 乾燥の舞い(4)


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「では、この舞いはどうですか」

 王妃様は、興奮した感じも楽しんでおられるようだった。

「ミ、ミ~~、ミ~~。ミ~~。ミ~~、ミ~~…(確かに、あんな固まった状態だったのが、その絡まりがほぐれていく。というか逆にそれが舞いに変化を与えている。ドサッと入れてもほぐれるなら、これはほぐす手間も省ける時短…)」

「タスカル君。セミの王?」

 ここは勇者にかまっていられない。でも、王妃様は勇者がついてこれていないことをご心配され…。

「特にほぐさず入れても、この舞いによって自然にほぐれ、舞いに変化を与えながら乾いていきます。王子たちより大きいドラムは、ほぐす効果もより強力。つまり、ハンガーを探す手間も、一枚一枚ほぐしながらハンガーにかける手間も、もちろんそれを取り込むことも要らないのがこの魔法なのです。こんなこと、勇者様はとっくに見抜いておられると思いましたが、念のため」

「も、もちろんです。でもそうか。なんという究極の時短魔法…。言葉もありません。これが8分100円とは」

「ミー(そこか)」

 それにしても、王妃様のお優しいお心づかいは、確かにご器量の大きさをうかがわせる。

 実際、リズとキャス両殿下のドラムも大きいと思ったけど、この両陛下のドラムは、特に奥行が長いから相当大きく感じられる。大きな舞いも、この大きさあってこそね。


「そろそろかな」

 女の子の声に振り向くと、マシロさんとマコさんが、右手の方から歩いて来るのが見えた。その先はどうやら緑に覆われた、公園?のような感じだった。

「舞い終わりのようですよ」

 王妃様のお言葉を待っていたかのように、国王陛下のドラムは、徐々にそのスピードを落とし、ゆっくりゆっくりと、名残を惜しむかのようにその回転をとめた。最後に残った洗濯物が有終を飾るように、ふわっと下に舞い降りてきた。

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