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魔法の王国コインランド 第一周 その12 乾燥の舞い(1)



「マコちゃん、今日もおばあ様のお手伝い?」

 常連なのか、王妃様もよく知っているみたい。

「いえ~、いろいろ修行中?って感じなんです」

 確かにおばあちゃん子のマコも、しょっちゅうオバアちゃん家に入り浸ってたけど…。

「いよいよ花粉の季節。うちのおじいさん花粉症なので、この時期はいつもお世話になるんですよ」

「そうですよね~」

「ミ~(調子いいよね~)」

 この勇者、初めての人にも知ったかっぷり全開。逆にすがすがしい?

「ちょうど良かったです。今からそれも勇者様にお伝えしようと思ってたところなので」

 まったくわかっていない勇者に、陛下直々の助け舟。

「じゃあ失礼して。ちょっとごめんなさいね」

 マシロと呼ばれた女性は、国王陛下のお腹の扉をサッと開くと、中のドラムに持ってきた洗濯物を慣れた手つきで次々入れている。

「では、舞いの準備をします」

 国王陛下がそう言うと、しばらく静寂が訪れた。


「そうそう、洗濯物は入れたから、8分で100円、24分だと…」

 国王陛下は、意識を集中しているのかと思ったが、どうやらお金の投入を待っているらしい。

 見慣れない白い防具のおじさんと、ペット?なのかアライグマのペアに、少し気をとられていた感じのマシロさんは、我に返ってバックをごそごそ漁っている。

 財布から300円を取り出すと、硬貨投入口へ投入。それからは、いつものことという感じで、温度設定を高温にし、スタートを押す。

「ブーン…」

 鈍い音とともに、悠然としたたたずまいから、ゆっくりと国王陛下のドラムが回転を始めた。

 勇者も、マコさんも、マシロさんも、しばらくその動きを、厳かな儀式が始まる感じで見守っている。

「ミ~~(なにが始まったってゆーのー)」

「タスカル君、シーっ」

 エ~っ、勇者にたしなめられた?ワタシが…。

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