魔法の王国コインランド 第一周 その11 上級大物乾燥魔法(1)
- 麻呂明弘
- 2021年4月13日
- 読了時間: 2分

「大丈夫、というか、火力自体は息子たちと、それほど違いはないんです」
国王陛下は、勇者を安心させるような穏やかな声で続けてくれた。
「そう、違いはこの大きいお腹のドラムを活かした、大物乾燥と、より大きな舞いにあるのです」
「なんと、それはすごい。というか、タスカル君に分かりやすくご説明頂けませんでしょうか」
「ミ~~(ついにダシに使う技を覚えたよ)」
見ると勇者は、言いながら両手でお尻を守っている。ジャンプ頭突きを防いでいるようだ。その情けない姿に免じて、今回は黙って両陛下のお話をお聞きすることに。
「リズやキャスが大物を洗えるのは聞かれましたね。つまりその大物を乾燥するのが私たちなんです」
「確かに毛布などの大物も洗えるとおっしゃっておられました。なるほどその乾燥をこちらで」
「そうなんです。容量的にはあの二人は27kgで私たちは23kgなんですが、お腹のドラムの大きさは私たちの方が大きいんです」
「つまりご器量が大きい。器が大きい、ということですね」
この勇者、なんとなく、胡散臭い?
「もう、勇者様、上に立つ者は、自分でそうは…」
「それは失礼しました。それが大物乾燥。わかったね、タスカル君」
「ミ~(ハイハイ)」
「王子のところで、実際に乾燥は見られましたか?」
「そういえば、イッピ王子が乾燥されてました」
「そうですか。その時に洗濯物がクルクルと…」
「そう、クルクル目が回りました。すきっ腹だったので。あ、いや」
「ミ、ミ、ミ~(王子たちに、食べないで、と言われてたね)」
「それは失礼しました。息子たち、うるさかったでしょう」
「それはもう、ヒゲソーリ、ジョリジョーリとか。あ、いや。でもイッピ王子は本当にしっかりとされていて助かりました」
「ほっほっほ。長男がしっかりしてくれていて、私も助かる。ね、タスカル君」
アン王妃は、庶民的なダジャレも心得ているよう。ただ、勇者のニヤニヤ顔には、頭突きがうずく。

























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