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魔法の王国コインランド 第一周 その10 謎の大型乾燥国王両陛下(1)


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「すいません。いきなりでした。その魔王というのは…」

 慌てた勇者が、どこからかよくわからない声に説明しようとすると…。

「きゃはは。冗談冗談。僕は下段だけど」

「もう、ヨッカ。ヒマだからって割り込まない。アクテンコーはもちろん知ってます。それなら、ぜひ父と母にお会いください。きっとお二人の力になると思います」

「それって、国王と王妃…」

「ミ~~(いよいよ両陛下来た~)」

 王国に入ってから、トントン拍子の展開に、アライグマということも忘れがちに興奮してきた。何が一体どうなるのか。両陛下は一体何を語ってくれるのか。王国最高の魔法は何なのか。


「いやもう帰りたくなってきた。イタッ。なんで~」

「ミ~~(とっとと行きなはれ)」

 王子たちに挨拶し別れを告げると、勇者の引けた腰にジャンプ頭突きをかまして追い立て、先を急いだ。アライグマの意外に荒い感じの気性も結構楽しい。

「ミ、ミ~(国王、どこや~)」

「ハイ、ここですけど」


「ミ、ミ、ミ~(もしかして、こ、国王様)」

「キャ、キャイ~ン。ちょっとタスカル君」

 あまりの近さに、止まりそこね、二度目の頭突きをテンチョーの尻に。勇者は見事なリアクションで応えた。なんとなくド突き漫才風に、息が合ってきてる?いやいや。

 歩いて3秒、宮殿ならぬ、銀色に輝く同じたたずまいの大型の姿が、並んで迎えてくれていた。

「こ、国王陛下と、お、王妃様ですか。勇者テンチョーとタスカル君で、です。謁見を賜り恐悦至極にぞ、存じます」

 勇者は、痛がるお尻を左手で押さえながら、右手は胸に当て、心もとないながら礼儀正しく挨拶している。ちょっとやりすぎたかも。

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