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魔法の王国コインランド 第一周 その9 ほさない魔法(2)


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「ごめんなさい。ドッキリなんです。でも、大丈夫でしたか」

 こどもっぽいイタズラに、ちょっとホッコリしていると…。

「ミ~(なにするんや~)」

「ほらほら、タスカル君も。高い高いあったか~い」

 勇者はいきなりワタシを抱き上げると、ほっぺたをガラスにむぎゅっと押しつけた。確かにちょっと熱いくらい、って…こどものイタズラにのっかるんやない。

「え~っと。あとはもう、取り出して畳むだけ。こちらで畳んで帰れば、しまうだけです」

 呆れた雰囲気を醸しだしながらも、さすがイッピ王子。しっかりまとめてくれた。

「なんと、干さなくていい。洗濯してからの干したり取りこんだりが要らない。天気を気にする必要もない。なんということか~」

 さっきリズとキャスが説明してくれていたが、実際にこうやってガラスに触って温かさを実感したせいか、絶賛興奮中。今回ばかりはその気持ちよくわかる。なんというか、何かから解放された気分ね。


「それだけじゃないんだけど。温度も変えられるんだ」

「そうだね。実は温度設定は3段階。78℃の高温に、63℃の中温、48℃の低温と、乾かすものに合わせて調節できるんです」

「う~ん」

 さすがに勇者はこれでお腹いっぱい。それにしても、王子たちは簡単に言っているが本当にすごい。ホワイト兄弟は大量な洗濯物も一度で済むと言っていたが、多ければ多いほど干す手間が大変になる。天候を気にして洗濯の時間を考え、干すためのハンガーを探し、絡みあった洗濯物を一枚ずつ干していく。乾いたらまた一枚ずつ外してハンガーを片付けて…えぇい。そんな手間を一気に無くしてくれるのが「ほさない魔法」。さすが、腕に覚えがある王族の魔法ね。


「わかりました。王子さま、魔王アクテンコーを倒してください」

「ミ~~(ついに丸投げか)」

「なにそれ?アクテンコー?別の国のマジシャン?」

「ミ~~(そりゃ違うテンコー)」

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