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魔法の王国コインランド 第二周 その3 除菌・消臭妖精スプレー君


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「あ、いや、これは、し、失礼しました」

「はっはっは、すいません。ジェーン、あんまり、ゴホン、はしたない声は出さないで」

「一度やってみたかったの。ごめ~ん勇者」

 ジェーンって、天真爛漫全開ね。


「では、洗濯前にちょっとした作法と、妖精のスプレー君を紹介します」

「な、なんですと。また妖精…、うぉっと」

 勇者は、屈んでいた恰好から、ジョンを見上げる。その拍子に、いつの間にかジョンの上に現れた、スプレーが勇者の頭の上に飛び乗ってきた。

「おいらを使いな」

「な、なんと、オケツ…いやバケツ君とは違う妖精。てゆーか、見えない」

勇者は、頭の上の妖精を手探りでつかむと、ジョンの上に戻してまじまじみている。

「洗濯でキレイになっている、そう言いたいのですが、いろんな方がご利用になりますので、使う前にスプレー君を中に噴射すると、魔法の力で菌や臭いを無くしてくれるんです」

 てゆーか、まんま除菌・消臭スプレーってことね。


「そうなんですか。特にニオイとかもないようですけど」

「確かに、ステンレス製なので、ドラムにニオイやカビはつかない仕組みなんです。ただ、洗濯される物の汚れや量によっては、どうしても後の方が気になる場合もあるようなので」

「それで、おいらの出番さ。おい、なんだ」

「ミー(それそれ)」

 アライグマの身体は好奇心の塊なのか、ちょっと生意気なスプレー君をこづいて遊んでみた。

「タスカル君。それ食べられないから」

「ミ~(どんだけ食いしん坊だ)」


「えっと、そういうわけで、気になるときはスプレー君を数回お腹の中に噴射して頂いて、しばらくして利用されると、私も安心です」

 親切な申し出がジョンの誠実な人?柄を表している。

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