魔法の王国コインランド 第二周 その3 除菌・消臭妖精スプレー君
- 麻呂明弘
- 2021年5月18日
- 読了時間: 2分

「あ、いや、これは、し、失礼しました」
「はっはっは、すいません。ジェーン、あんまり、ゴホン、はしたない声は出さないで」
「一度やってみたかったの。ごめ~ん勇者」
ジェーンって、天真爛漫全開ね。
「では、洗濯前にちょっとした作法と、妖精のスプレー君を紹介します」
「な、なんですと。また妖精…、うぉっと」
勇者は、屈んでいた恰好から、ジョンを見上げる。その拍子に、いつの間にかジョンの上に現れた、スプレーが勇者の頭の上に飛び乗ってきた。
「おいらを使いな」
「な、なんと、オケツ…いやバケツ君とは違う妖精。てゆーか、見えない」
勇者は、頭の上の妖精を手探りでつかむと、ジョンの上に戻してまじまじみている。
「洗濯でキレイになっている、そう言いたいのですが、いろんな方がご利用になりますので、使う前にスプレー君を中に噴射すると、魔法の力で菌や臭いを無くしてくれるんです」
てゆーか、まんま除菌・消臭スプレーってことね。
「そうなんですか。特にニオイとかもないようですけど」
「確かに、ステンレス製なので、ドラムにニオイやカビはつかない仕組みなんです。ただ、洗濯される物の汚れや量によっては、どうしても後の方が気になる場合もあるようなので」
「それで、おいらの出番さ。おい、なんだ」
「ミー(それそれ)」
アライグマの身体は好奇心の塊なのか、ちょっと生意気なスプレー君をこづいて遊んでみた。
「タスカル君。それ食べられないから」
「ミ~(どんだけ食いしん坊だ)」
「えっと、そういうわけで、気になるときはスプレー君を数回お腹の中に噴射して頂いて、しばらくして利用されると、私も安心です」
親切な申し出がジョンの誠実な人?柄を表している。

























コメント